HAKOBUNE AIR
「琴平での出会いとAIRのはじまり」
昨年の春、香川県・琴平で地域に根ざした創造的な活動が行われていることを知り、HAKOBUNEビルやThe ArtInstitute of Kotohira(AIKO)の存在を知りました。
アーティストが関わることで地域にどのような変化が生まれるのかに興味を持ち、いつか琴平を訪れたいと考えていましたが、なかなか機会がなく、実際に足を運ぶことはできずにいました。そんな中、私の活動拠点のある大阪・藤井寺市でまちづくりに取り組むメンバーが琴平町で地域活性に取り組む方々との交流を持つようになり、藤井寺で開催されたイベントに琴平町の方々が参加する機会がありました。
私は藤井寺・土師ノ里エリアのまちの案内役として関わることになり、その過程で琴平バス代表の楠木さん、Kotori Coworking& Hostel Kotohiraのマネージャーである石田さんと出会いました。
アーティストが地域に滞在しながら関係を築き、
双方が影響を与え合いながら変化していくことについて話す中で、楠木さんが「HAKOBUNEの人たちを紹介します」と声をかけてくださいました。楠木さんはHAKOBUNEの物件の大家でもあり、彼らの活動を応援したいという思いがあったそうです。
また、偶然SNSでAIKOの森岡さんが土師ノ里エリアのマップを掲載しているのを見つけたことがきっかけで、メッセージでのやり取りが始まりました。森岡さんは大阪芸術大学の出身で、かつて藤井寺市・土師ノ里エリアの近くに住んでいたそうです。そうした共通点もあり、琴平での地域活動がより身近に感じられるようになりました。
こうした流れを経て、昨年7月、私は短期滞在の形でHAKOBUNEを訪れることになりました。滞在中、HAKOBUNEの銀さん、森田さん、Kotoriの石田さん、AIKOの森岡さんと対話を重ね、それぞれの視点から地域とアートの関わりについて考える機会を持ちました。地域に拠点を構えることの意義や、アーティストが地域とどのように関わるべきかについて深く考える時間となり、この滞在が、まだ馴染みのなかった琴平という土地へと足を踏み入れる大きなきっかけとなりました。
滞在後、この経験を通じてHAKOBUNEでAIR(アーティスト・イン・レジデンス)を立ち上げる話が持ち上がりました。
当初、私はアドバイザーとして関わっていましたが、「まず私が実践してみて、その後プログラムを考えてみませんか?」と提案し、実際に動き始めることになりました。そして、Kotoriの石田さんがサポートメンバーとして加わり、琴平バスの楠木さんにも協力をいただき、ほぼ手作りのHAKOBUNE AIR(ハコブネエアー)がスタートしました。今後、AIKOの森岡さんにもイベント企画に関わっていただく予定です。
「こんなことをやってみませんか?」と提案しながら模索する中で、少しずつ可能性が広がってきました。まだ実験的な取り組みではありますが、成果物だけを重視するのではなく、そのプロセス自体を大切にしたいと考えています。
HAKOBUNEを「遊び場」として楽しみながらも、この場所や地域に何かを緩やかに還元できるような試みにしたい。そして、このプログラムそのものが、一つの協働作品として成立することを目指しています。
3/9開催のアーティストトーク&HAKOBUNE座談会にご参加いただき、ありがとうございました!
最初は5、6人ほどの参加を想定していたのですが、実際には15人以上もの方にお越しいただき、驚きました…!想定より多い参加者数で、私もHAKOBUNEの皆さんも、内心びっくりしながらお話ししていました。お忙しい中、足を運んでくださった皆さん、本当にありがとうございました!
私の作品は、一見すると分かりにくい部分が多いため、ぜひアーティストトークの機会を設けたいと思い、HAKOBUNEさんにお願いし実現しました。今回のプロジェクトは、単なる作品発表ではなく、歴史や社会的な文脈を取り入れた場所の特性を重視し、多様な方たちと協働しながら進めるアートプロジェクトでした。そのため、しっかり言葉にして伝えないと、なかなか意図が伝わりづらいと感じていたからです。なっちゃん、素晴らしい進行をありがとうございました。
まだまだ話し足りないことばかりですが、少しでも皆さんの中に何かが残れば嬉しいです。
第二部のHAKOBUNE座談会は、もともと「HAKOBUNEメンバーは周りに助けを求めるのが苦手」という話を聞いたことがきっかけでした。そこで、「それなら、周囲の人たちに思いを共有し、自然とサポートが生まれるような場をつくったらどうだろう?」と考え、今回の座談会を提案しました。
この場では、普段なかなか話せないリアルな思いや、活動の裏側にある苦労を率直に語り合えたと思います。コトリのイッシーさん にも聞き手として参加していただき、さらに対話しやすい雰囲気が生まれたと思います。ありがとうございます!
このイベントを通じて、私たちの活動や思いが少しでも伝わり、今後のつながれば嬉しいです。改めて、ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました!
HAKOBUNE AIR 全プログラム終了のご報告
2月2日から香川県・琴平にてリサーチおよび滞在制作を行い、2月22日〜3月26日には、成果発表展を開催しました。
約2ヶ月にわたる本プログラムでは、琴平のまちやHAKOBUNEという場所と向き合いながら、地域の方々と対話を重ね、思考を深め、表現へとつなげていくプロセスを実践しました。
会期中には、以下のようなプログラムを実施しました。
◯森岡さんをお迎えした「文脈を読み織るワークショップ」
◯コトリマネージャーの石田さんをお招きした「琴平リサーチツアー」
◯HAKOBUNEさんとの「アーティストトーク&HAKOBUNE座談会」
◯髙山さん、metomeさん、SHUPIさんを迎えた「クロージングイベント|ライブ&DJ」
それぞれの視点や表現が交差し、琴平とHAKOBUNEという場所を多角的に捉え直す時間となりました。
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このプロジェクトの出発点は、「琴平でアーティスト・イン・レジデンスを立ち上げたい」というHAKOBUNEさんの思いでした。その声に共感し、私はアドバイザーとして企画・提案・運営に携わり、ゼロからプログラムのかたちをともにつくっていきました。
滞在中は、制作と並行して、事務や調整といった実務面も担当しながらの毎日。制作と運営を行き来しながら、走り抜けた2ヶ月だったと思います。
振り返れば、企画立案、方向性の検討、資料制作、広報、メール対応、アーカイブ作成、カメラマン手配、レビュー依頼、イベント運営、ゲスト対応、デザイン、撮影、ライティング、リサーチ、インストール、各種調整、打ち合わせ…。
多岐にわたる業務を抱えながらも、無事にすべてのプログラムを完了することができました。がんばった!
とはいえ、頑張りすぎた場面も多々ありました。今後は予算や体制を見直し、より持続可能なかたちで進めていけるようにしたいと考えています。⸻
あらためて、本プロジェクトを支えてくださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。
遠方から足を運んでくださった方々、展示を観に来てくださった皆さま、ふらっと立ち寄ってくださった琴平の皆さま。一つひとつの関わりが、このプロジェクトの力となりました。
そしてHAKOBUNEさんには、ディレクションの相談、広報、集客、当日の運営サポートまで、多方面にわたって伴走していただきました。収益化が難しい中で、悩む場面もありましたが、「お金だけじゃない価値がある」と、長期的な視点で励ましてくださったことに心から感謝しています。
また、現地でご協力いただいた皆さまにも深く御礼申し上げます。コトリマネージャーの石田さん、イナさん、まなっちゃん、ひとつぶビーズの三好さん、コトバスの楠木さん、池商店の池さんには、リサーチや広報など、さまざまな面でお力添えをいただきました。最終日には西端さんにもご助力をいただき、非常に心強く感じました。
さらに、イベントにご出演・ご参加いただいた森岡さん、髙山さん、metomeさん、SHUPIさんにも、あらためて感謝申し上げます。
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今回得られた学びや気づき、そして反省点は、今後の活動にしっかりと活かしていきます。
HAKOBUNEさんとも引き続き振り返りを共有しながら、次の展開へとつなげていきたいと思います。
本当にありがとうございました!
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