ペロンミさんによるレポート


【ペロンミさんによるレポート公開のお知らせ】

8月3日、「HAJINOSATO AIR 2025 〜Embodiment and Conviction〜」のキックオフ・トークイベントを開催しました。

トークに先立ち、art space tetraの城野さん、マリコさん、そしてペロンミさんと一緒に、土師ノ里周辺をご案内しました。

城野さんとマリコさんは、トークイベントのゲストとしての視察として。

ペロンミさんは、ちょうどマンションみどりでレジデンス中のタイミングだったこともあり、ご一緒にいかがですかとお声がけしました。

せっかくの機会なので、「土師ノ里案内とトークのレポートを書いてください!」とお願いしたところ、快く引き受けてくださり、とても丁寧な文章を寄せてくださいました。(ペロンミさん、公開が大変遅くなってしまいすみません!)

ペロンミさん、丁寧な体験記録をありがとうございました。


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以下、ペロンミさんによるレポートです👇


みなさん初めまして、ペロンミです。
私は2025年の6月から8月中旬までの約2ヶ月のあいだ土師ノ里というエリアの片隅で生活と制作をしています。先日、「HAJINOSATO AIR2025〜Embodiment and conviction〜アーティスト・イン・レジデンス・プログラム|キックオフ・トークイベント」を聴講するために、美術家の下浦萌香さんが主催する土師ノ里のデラハジリを訪れました。幸運にもトーク前に行われた土師ノ里エリアの街歩きにも参加することができたので、当日の体験について個人的な感想を書き綴ります。

まず、下浦萌香さんとHAJINOSATO AIR2025について簡単にご紹介します。下浦さんは全国各地でアーティスト・イン・レジデンス(Artist In Residence/AIR)の制度を積極的に利用して滞在制作を行う美術作家さんです。また、土師ノ里で「デラハジリ」というアーティスト・ラン・スペース施設を運営なさっています。HAJINOSATO AIR2025は2023年から始まった福岡のアートスペース「art space tetra」がウズベキスタン・タシュケントに暮らすアーティストと共に始めた国際交流プログラムの最新のプロジェクトです。デラハジリもプロジェクトに携わり、現在は拠点の一つとなっています。2025年11月にデラハジリにおいてウズベキスタンの美術家であるKerimova Olgaさん・Grigoryants Annaさんの2名による滞在制作を予定しています。今回のトークイベントはそのキックオフのトークイベントです。HAJINOSATO AIR2025についてのより詳細な情報は是非デラハジリのインスタグラムをご覧ください。

皆さんは土師ノ里というエリアをご存じでしょうか。土師ノ里とは今回の街歩き・トークイベント・そしてHAJINOATO AIR2025の舞台となる土師ノ里とは大阪府藤井寺市道明寺一丁目を中心としたエリアを指します。土師ノ里と書いて「はじのさと」と読みます。古墳時代に現在の土師ノ里一帯で土木系技術を氏業としていた氏族に由来する地名です。歴史のある場所と名前なのですが、土師ノ里は現在では住所としては残っておらず、鉄道の駅名と交差点に名前を冠するのみとなっています。それでも古墳時代からの歴史は今も至るところに残っており、少し街を歩くだけで大小併せ数多くの古墳を目にすることができます。実際のところ「コンビニよりも古墳が多い住宅街だな」という雑感を私はこのエリアに抱いていました。

今回参加した下浦さんとの街歩きは、そんな「古墳の多い住宅街」とはまた異なる側面を私に見せてくれるものでした。街歩きでは「Nowhere hajinosato」、「書林千鳥」、「アサノヤブックス」、「jichanchi」、「アートスタジオイミュ」という5つのスペースを周りました。いずれも2020年以降に土師ノ里に出来たスペースです。下浦さんと周ることで、一度訪れた場所であっても、一人で訪れるのとは異なるコミュニケーションを店主さんたちと取ることができたように感じます。一人で訪れた際にも店主の皆さんはとても丁寧に接してくださいました。今振り返るとそれは接客モードの丁寧さで、お客さんとしての応対だったのかも知れません。下浦さんと共に訪れることでお客さんとのコミュニケーションとも異なるスイッチが入って、皆さん熱のある話をしてくださったように(勝手に)感じました。6月に大阪へやってきて2ヶ月が経ちこの土地のことを知れたつもりになっていたのですが、見落としていたことも本当に沢山あるのだと改めて気づきました。街歩きの中で皆さんが腹を割って話をしてくださったかは判断が難しいですが、少なくとも私一人でお話を伺うよりも沢山のお話を聞けたと思います。アテンドしてくださった下浦さんには心から感謝しています。それと同時にこの街に住む方に話を聞いたことによって、この街について理解したつもりになることが無い様に気をつけなければいけないな、とも思いました。街に馴染むとはどういうことなのか、改めて考えさせられました。下浦さんが案内してくれた5つのスペースを周る街歩きは驚きや感動や反省が多くとても楽しかったです。

街歩きを終え、「HAJINOSATO AIR2025〜Embodiment and conviction〜アーティスト・イン・レジデンス・プログラム|キックオフ・トークイベント」を聴講するために開催場所のデラハジリに向かいました。デラハジリの前には小さな広場があります。その日は偶然デラハジリに隣接する複数のお店が協働して広場で夏祭りを開催していました。沢山のお客さんがお祭りを楽しんでいたのですが、一部のお客さんがデラハジリのトークイベントの準備の様子を外から覗き込んでいました。トークイベントの主催者の皆さんは準備で忙しくてそんな皆さんに気づいていなかったのですが、その様子に気づいた聴講しに来た方が率先して「HAJINOSATO AIR2025」の紹介をしていました。トークイベントの外で、お客さん同士による自発的な交流が生まれていることに驚きと感動を覚えたからです。残念ながらトークイベントは予約で立つ場もないほど満員だったので当日聴講の受付はしておらず、お祭りのお客さんが聴講することは叶わなかったのですが、そういった小さな交流が生まれていることは今後のプロジェクトに大きな影響を及ぼすのかもしれないなと思いました。

トークイベントではアートスペース「art space tetra」を運営なさる城野敬志さん、コーディネーターの大塚麻里子さんが登壇し「HAJINOSATO AIR2025」やウズベキスタンの土地についての説明がありました。また、11月に土師ノ里での滞在制作を予定しているKerimova Olgaさん・Grigoryants Annaさんによるオンラインでの自己紹介・ステートメントの紹介もありました。さらにKerimova Olgaさん・Grigoryants Annaさんの滞在制作に土師ノ里の作家として関わることになるという村尾尚子さん・村尾敏彦さんらの自己紹介も行われました。事前に街歩きを行ったことで感じたこのエリアの持つ「交流することへの関心が高い」という空気感も手伝って、どのような滞在制作になるのかとても楽しみになるイベントでした。

トークイベントの休憩時間にふと大塚さんが「世界中の人と軽やかに友人関係を結ぶことができれば、きっと色んな国の出来事に対してもっと考えることができると思う」といった趣旨のことをお話ししてくれました。「軽やかに結びついていく」ということに対して、軽率に他人から搾取するといったネガティブなイメージを持っていたので、大塚さんのその一言は心に深く突き刺さりました。軽やかに結びつくことはAIRにとって大切であるという以上に、今後生きていく上でも考え続けていく事の一つになりそうです。

以上が「HAJINOSATO AIR2025〜Embodiment and conviction〜アーティスト・イン・レジデンス・プログラム|キックオフ・トークイベント」と街歩きを体感したペロンミの感想文です。街歩きに快く参加させてくださった下浦さん、大塚さん、城野さん、周ったスペースの皆さん、読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。土師ノ里や「HAJINOSATO AIR2025〜Embodiment and conviction〜アーティスト・イン・レジデンス・プログラム|キックオフ・トークイベント」にご興味を持った皆さんはぜひ各々調べてみてください。Nowhereのキッシュは絶品です。それではまた!